家と断熱

みなさんこんにちは。
秋らしい秋を感じられず、急に寒くなってしまいましたね。

先日、仲良しのご近所さんに誘ってもらい朝ランに行ってきました。外気温は朝6時時点で0.4℃。3㎞程の距離でしたが久々のジョギングを楽しみました。朝焼けを眺めながら仕事の事や子供の事などをお話しながら話題は自然と「家の寒さ」の話に。我が家の室温や暖房の事などお話ししているうちにゴールに到着。
「断熱ってホントに大事ですね」という言葉で朝ランは終了。
玄関を開けるとほんわか暖かく室温は20℃。断熱の恩恵を改めて感じた朝でした。

断熱性能

そもそも断熱材、断熱性能って何なのか。断熱材は保温材、断熱性能は保温性能と考えるとわかりやすいかもしれません。断熱性能が良いほど、室温を保温しやすい。暖房すれば暖かい空気を保温しやすい為、暖房効率が上がり省エネにもつながります。

基本的に高気密高断熱の住まいは部屋ごとの室温差が極めて小さい為、温度のストレスは無いと言っていいと思います。

このような報告があります。
リビングとトイレに温度差が10℃ある場合と、温度差が無い(高断熱の住まい)場合を比べると温度差が無いの方が1日の歩数が約2,000歩増加します。また同じ部屋内で最高気温と最低気温の差が10℃ある部屋と1日を通して常に温度が一定で暖かい部屋とでは、温度が一定に保たれている方が約1,400歩増加します(どちらのデータも1日在宅の場合)。
つまり高断熱にする事で温度のストレスから解放されるだけでなく、1日の運動量が増え約3,400歩も歩数が増える事になります。

寒い日にコタツから出るのが億劫になってしまう経験をしたことがある人は多いはずです。コタツから出たくなくてトイレを我慢したり、食器洗いを誰がやるかで揉めたり、コタツから手の届くとこにリモコン全部集めてみたり…コタツあるあるですよね。
家中が暖かければ、何をするのにも「寒い」を理由に、後まわしにしたり我慢したりが無くなります。

厚労省は、1日の活動量として8,000歩を推奨していますので、その半分近い歩数が自宅の室温に関わってくるのですから、運動量が不足しがちな冬場の効果は絶大ですね。

ヒートショックの事

家の寒さが体に与える影響は様々なものがあります。
例えば室温が低い部屋に住む人は、血小板が多い傾向があるそうです。血小板には傷口などの血を固める成分がありますので、血管の中に血栓ができるリスクが上昇します。血栓ができるという事は心筋梗塞や脳梗塞など「○○梗塞」になるリスクも増えるというわけです。

家の寒さと言うと、この時期に必ず話題になる『ヒートショック』を忘れてはいけません。

画像参照:YKKap

ヒートショックは、家の中で温度差の大きな場所へ移動した際、血圧が急激に変動することで、失神・心筋梗塞・脳梗塞などを引き起こす現象です。断熱が十分でない住宅では入浴時や就寝中のトイレ等で起こりやすく、毎年の死者数は交通事故の3倍~7倍となっており、寒いお風呂は外よりも危険な場所と言えます。2023年でいえば家庭内の死亡事故の内約6,300人の方がヒートショックが原因で亡くなられているとされています。

あたたかいリビングから寒い廊下を通り、もっと寒い脱衣所で服を脱ぎ、もっともっと寒い浴室からちょっと熱めの浴槽へ。寒い廊下で血圧が上昇し、熱いお湯に入り血圧が急激に下がります。血圧の急激な変化は体に大きな負担がかかり心筋梗塞や不整脈、脳出血・脳梗塞を誘発したり、浴槽内で失神してしまう等、命に関わる重大な事故に繋がります。

ここでもやはり室温が重要になってきます。ヒートショックを防ぐには温度差を無くし、体への負担を減らす事が非常に大事です。

一般に非暖房室の室温が10℃以下で且つ、暖房室(リビング)と非暖房室(廊下や浴室)の温度差が5℃以上あるとヒートショックのリスクが高まると言われています。

暖房で家中温度差の無いようにあたためられれば良いですが(消費エネルギーや電気代の事は置いておいて)、断熱性能の向上でより確実に、よりムラなく、より省エネに快適な住環境を実現したいですよね。

HEAT20

高気密高断熱の住まいをお考えの方は、『HEAT20』という単語を耳にしたことがある方も多いかと思います。HEAT20は、断熱性能に於いてZEH基準を超えるUA値を目安に、室温とエネルギーの点で4つの指標を満たす事を目指しています。

HEAT20と言うと、断熱性能(UA値)にばかり注目が集まってしまいますが、HEAT20の審査には断熱性能だけでなく、遮熱性能(日射遮蔽)、通風性、換気などの項目があります。ただ単純に断熱性能を高めるだけでなく、私たちつくり手は、お客様に快適で健康的な暮らしをしてもらう基準として総合的に理解する必要がありますので、幅広い知識が必要です。

HEAT20では、ZEH基準を超えるG1、G2、G3グレードが設定されています。periwinkleの基本仕様は0.34以下ですので、ちょうどG2とG3の間位ですね。
UA値も気にしつつ、前述した室温の指標に注目してみると、G2でも『概ね13℃を下回らない』事が条件となっています。ヒートショックのリスクが軽減できる室温となっており、先ほど述べたヒートショックのリスクを軽減できることが分かります。

家と健康

建築業界では有名な近畿大学の岩前教授の研究データです。

新築戸建て住宅に引っ越した約24,000人を対象にした調査で、転居後にからだの不調が改善した人の割合を断熱グレードごとに調査したグラフになっています。グレードが高まるほど転居後の暮らしで症状が出なくなった人が増えている事が分ります。グラフ上の断熱グレード5がQ値1.9ですので、UA値に直すと0.6くらいでしょうか。

この調査(2013年)以前は、高断熱化の目的は暖冷房負荷の軽減による省エネ性と室内の熱的快適性が主な目的とされていました。今ではもう当たり前に「家と健康」の関係性・重要性が語られています。

私たちの理念の一文に
『安心・安全な家づくりを通じ、健康的で豊かな暮らしを提供します。』

と記しているように、私たちは『健康的で豊かな暮らし』を提供する事を大切に考えています。「家の寒さ」は確実に健康に悪影響を及ぼしています。逆に言えば、お客様の健康を支えるものとして高気密・高断熱な住まいは必然であり、室温の上昇は重要な要素です。

「幸せ」の根底にあるのは家族の健康。健康があってこそ心にゆとりが生まれ、幸せを感じられるのだと考えています。

もうすぐクリスマスです。寒い中がんばる全国のサンタさんもどうか健康にお過ごしください!

今週もブログを読んで頂きありがとうございます。
2歳の娘は「シートベルトが欲しい」と言い出しまして、サンタクロースを焦らせています。

深澤

HEAT20
http://www.heat20.jp/grade/

periwinkle -Simple Sustainable Serenity-
ペリウィンクルは群馬県前橋市で、高気密・高断熱住宅の新築・リフォーム・リノベーションの設計、施工を行っています。

耐震等級3(許容応力度計算)・UA値0.34・C値0.3・自然素材・工務店
前橋市・伊勢崎市・高崎市・みどり市・桐生市・玉村町

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